Them magazine 創刊 「オシャレな雑誌は成功しない」というジンクスへの挑戦


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■今の日本には、情報(カタログ)よりも、美学(スタイル)のあるファッション誌が必要だ。

 

一部の人々の間で、そのファッション性と圧倒的なクオリティで熱い支持を集めていた「HUGE」。

ディレクターを務めていた右近 亨が”新雑誌創刊準備のため”ということで同誌を退いて約半年、ついにその新雑誌「Them magazine (ゼム・マガジン)」が創刊された。

右近亨ほか、ファッションディレクターに野口強、アートディレクターに村田錬という前「HUGE」の体制を受け継ぐ形となる。発行は年4回が予定されている。

 

■日本の雑誌はみんな同じに見える

 

上記の文言は海外のクリエーターからよく聞く言葉だという。

資本主義のもとで活動していくうえである意味宿命ともいえるのだろうが、あまりに売上至上主義になっており、読者やマーケットに媚びた結果、いつしか日本の雑誌は画一的で個性に欠け、自由な誌面が創れなくなっているという状況。

 

46歳という若さで夭折した伝説的な編集者である「DUNE」を発行していた林文浩。彼もまた日本のシステムに抗い世界に誇れる本当に面白い雑誌を作ろうと孤軍奮闘していた一人である。

 

WAYNE LORDS によるインタビューから一部抜粋したい。

日本て、雑誌ってビジネスであって、カタログであってカルチャーじゃないのね、ほとんど。一 番始めに売れるか売れないか、お金はいるか入らないかになっちゃって、エディターがいない。 エディターじゃなくて、コントロールするだけで、ノーアイデア。ただのお金になっちゃったから。 俺はあれなんですよ。有名なものは興味ないのね、ソフィアも別に有名だからつき合ったわけではな いし、その頃ぜんぜん有名じゃなかったし、マリオ・ソレンティは少々有名だったけど、ほとんどは 昔から10年くらいつきあってるんですよ。それから、彼らが、有名になっただけで。要するに、才能 をグローアップするのがマガジン、特にインディペンデントだと思ってるんだけど。今みんなそんな 事考えてない。 その時にもう今のシステムだとちょっと雑誌は作れるんだけど、自分が考えているような雑誌を作る とすごくエコノミー的にダメージを被る日本の状況は。理解しないのよ、クライアントが。例えば、 海外だと、ジャーナルとかパープルとか出すじゃん。パープルは3000部とか出すのよ。 向こうは文化、カルチャーだし、重要だから。日本はそんなのなし。

 

 

「Them magazine」では、「ファッションを買う」ための雑誌ではなく、「ファッションを創る」ための雑誌。なにがかっこよくて、なにがかっこ悪いのか、その哲学をブレる事のないスタンスで明確に打ち出していくという。

 

 

■流通システムの見直し

 

以前、「基本的に自分たちの美意識にフィットするものであれば、お客さんはお金を出してくれると思っています。少し乱暴な言い方をすれば、『HUGE』は影響力のあるデザイナーやクライアント、またクリエイティブな仕事をしたいと思っている人に響いてくれればいい。」と言い切っていた右近。

その一つの方法として、パリのコレットを皮切りに世界各国の感度の高いショップなどに送本した結果かなりの反響が得られ各国のクリエーター達に認知されるようになって、その成果としてラリークラークとの仕事の実現といったいい循環を生み出した。

 

「Them magazine」ではそれらをさらに推し進め、広告費の見直し、配本の選択と集中、海外販売の挑戦、制作コストの削減…などによりラグジュアリーブランドやドメスティックブランドにとって、もっと広告の出稿をしやすい媒体を目指す。そして書店、コンビニだけではなくセレクトショップや雑貨屋、さらにはパリ、ロンドン、ニューヨークなどの人気ショップでもストックされるファッション誌を目指すなど、新しい広告営業、販売システムへもチャレンジするという。

 

インターネットの浸透した現在、雑誌媒体のおかれた状況はかなり厳しい。しかし逆に考えればネットで事足りる情報のみを扱っているような雑誌は淘汰されるだろうが、紙でしか出来ないことにチャレンジしていくことで活路は見いだせるのではないだろうか?

 

【Them magazine H.P.】