ファッションから見たビート – 「ビートジェネレーションとその時代」@FACTOTUM Gallery


 
代官山のファクトタムのショップ内に併設されたギャラリースペース「FACTOTUM Gallery」は、ショップを訪れる若い方達などに広くアートやカルチャーを紹介していければという事で設置されたスペース。デザイナー有働氏が気になっているモノを中心に様々な企画展を定期的に開催し、ファッションの側面からFACTOTUMの世界観を提示している。
 
先頃開催された「ビートジェネレーションとその時代」展では、渋谷にある古書店 「Flying Books」代表・山路和広氏の選書によるヴィンテージブックやFACTOTUMデザイナー有働幸司氏がビート詩集などを数多くリリースしている思潮社から選書した書籍、そして代官山と原宿に店舗を構えるセレクトショップRUMHOLE(ラムホール)とberuf(ベルーフ)の店主、桝山太路氏の解釈によって集められたビートを感じる洋服やアクセサリーなどが展示・販売され、ヴィンテージウェアや書籍を通して時代の空気や文化に触れる事の出来るイベントとなっている。

 
 

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1950年代にアメリカの文学界で旋風を巻き起こしたムーブメント”ビート・ジェネレーション”。
今回は、この展示に参加した「RUMHOLE / beruf」の桝山氏に、ファッションの視点から見た”ビート・ジェネレーション”について話を聞いた。

 

 
— まず、ビートジェネレーションの人々のスタイルについてどういった印象を持ってますか?
 
当時”ホーボー”と呼ばれていた人達がいて、ビートニクスもその流れを汲んでいると思うんですけど、つまり路上とかでも生活し易いようなヨレっとしたスタイルが原点にあるんじゃないでしょうか。
 
— 後のヒッピーに繋がる流れですよね。
 
50年代に起こったサブカルチャーですが、一般的な50’sのイメージってエルビス・プレスリーに代表されるような派手な感じを思い浮かべると思うんですよ、ヘアスタイルもビシッとリーゼントで決めたような 。車とか家とかもピンクとか派手な色が多かったですよね。それに対してビートはグレーとか白、ベージュなどの野暮ったいともいえる、ごく普通の人って感じの格好。だけど、それにちょっと破滅的なイメージがプラスされたっていう風な印象ですかね。

 
— 今回の為にバイイングもされて来たという事ですが、セレクトのポイントは?
 

ビートってモッズとかルードボーイとかの他のサブカルチャーと違って、そのスタイルにおいて明確にコレってのが無いんですよね。なので自分なりのイメージって事になっちゃうんですが、何となく長いコートとかを着ている印象が強いんでステンカラーとかチェスターとかのコートなどを中心に50年代、60年代の当時のアメリカの空気感を感じるモノでまとめています。ただ全身で着た時に重くなりすぎないような、今のスタイルに合わせた時でも違和感なく取り入れられるアイテムってのは意識していますね。
あと今回はこの展示用にFACTOTUMのこれまでの生地のストックを使ってジャケットの内側に本とペンが入れられるようなポケットを付けたりといった、ちょっとしたリメイクをしたのも何点か有ります。
 

※ FACTOTUM 有働氏セレクトのビート本

 
— ビートって一口に言ってもどんな感じか上手くイメージ出来ない人もいるかと思うんですけど、例えば今の有名人でビートっぽい人を挙げるとしたら誰ですかね?
 

ボブ・ディランとかは有名ですけど、例えば本人がそうかどうかは置いといて、知的で不良っぽい感じのジョニー・デップとか、ネットでホームレスの様になっちゃっている姿が度々見られるキアヌ・リーブスなんかは正に”路上”を地でいく感じだし…日本人だと尾崎豊なんかは詩の世界観や神経質に思い詰めた感じと破滅的な行動など、ビート的なんじゃないかと思いますね。やっぱり内面からにじみ出て来る物が大きい気がします。

 
— 桝山さんにとって古着の魅力ってどんな所ですか?
 
単純に古い物の美しさって有ると思うんですよ。古くなればなる程、汚れとか黄ばみ、色褪せなんかを美しいなって感じる。一言で言っちゃえば”味”って事なんだと思うんですけど、あとは60年代70年代とかそれ以前の生活とか社会について、その物を通して想像するのが楽しくて。その時代の写真とか有りますけど、モノクロで撮られたその断片だけじゃ分からないモノがその時代の服を通してもっと具体的に感じる事が出来る気がするんですよね。
なので最近は古ければ古い物ほど魅力を感じるようになっていますね。買い付けにいって服を選ぶ時にやっている事が有るんですけど、それは頭の中で真っ白い部屋の中に一体のトルソーを置いてその服を着せてみるんです。それで美しいと感じるかどうか。たとえ汚れやちょっと破けてる所が有ったとしても美しいと感じれば買ってきます。逆にコンディションがすごく良くても魅力を感じない物もありますし。

 
— ここ最近また状況は変わって来ているのを感じますが、依然として古着屋さんにとって厳しい状況は続いていると思いますが。
 

今ネット通販とかで服を買う人も多くなってると思うんですけど、やっぱり現場でしか伝わらない事って有るじゃないですか。ウチとしては音楽や映画、写真集など、サブカルチャーも伝えていきたいってのが有るので、手に取って見やすいように本棚を作ってそこに写真集を並べたり、手に入りづらい古い映画をDVDに焼いてお客さんに貸し出したりってのを今考えています。少しでもカルチャーも含めて古着に興味を持って貰えれば嬉しいですね。

 

【 RUMHOLE / beruf 】

東京・原宿と代官山に店舗を展開しているセレクトショップ。「大人が着られるモダンな不良スタイル」をテーマにアイテムがラインナップされている。また、直しや染色の職人によるUSEDアイテムのリメイク、リサイズ、オリジナルティ溢れる一点物を提案している。古着と相性の良いドメスティックブランドのセレクトも。

http://schrein.net/

 

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※「Flying Books」山路和広氏の選書によるヴィンテージブック

 
■ 今回の企画展、かなり好評だったようで当初の予定を大幅に延長して開催されました。この展示を知らずにFACTOTUMを訪れたお客様の中にも、古着の方を買っていった人も多かったそうです。
 
 

【 FACTOTUM Gallery 】
・ 東京都渋谷区鶯谷町11-3  FACTOTUM appartement内
・ TEL:03-5459-9779
・ HP : http://factotum.jp
 
【 Flying Books 】
・ 東京都渋谷区道玄坂1-6-3 渋谷古書センター 2F
・ TEL : 03-3463-8151
・ HP : http://www.flying-books.com