『soe』伊藤壮一郎 – 育った環境と影響


 

 

1978年、3人の音楽家によって革新的なグループが誕生した。その音楽は”テクノ・ミュージック”という新しい言葉を生み、日本において一種の社会現象を巻き起こすまでになった。そうそのグループとは、伝説的なスーパー・グループ『YMO』である。

 

『soe』のデザイナー伊藤壮一郎は、そのほぼ同じ時期に東京に生まれる。ご存知の方も多いかもしれないが、『YMO』のメンバーの一人だった高橋幸宏氏は伊藤壮一郎の叔父にあたる。

情報化の進んだ現代において、東京と地方の距離感、感覚の格差のようなモノは以前と比べると大分なくなって来ていると思うが、一昔前は自分も含め、東京への羨望やコンプレックスのようなものが存在していたような気がする。今は国内はもとより、世界規模でフラットな時代になりつつあるが、かつては都市ごとの文化の違いなども大きく、東京には東京の文化が当然ながらあった。

東京で生まれ、そういった東京のカルチャーを牽引していった人物たちと近い距離で接しながら育った彼に、それらが彼のクリエーションやパーソナリティーに与えた影響などあるのか、中目黒の『M.I.U.』にて話を伺った。

 
 

 
 

【東京っぽさって?】

 
- 私の個人的な感想なんですが、『soe』というブランドを見ていて全体的に感じるのが ”東京っぽい” ってのがあって、これは具体的にどこがどうってことではなく、ホントなんとなく受ける印象といった曖昧なものなんですけど、後に伊藤さんの生い立ちなどを知ってその辺の影響とかあるのかなって思ったんですけど。今日はその辺の事を中心にお話を聞かせてもらえればと思ってます。

 

自分では、”東京っぽさ” みたいなの意識したことないんですよね。でもなんか最近その辺の話題が多い気がするんですけど、なんかあるんですかね?

 

- “東京っぽい”ってことについて言えば、『YMO』の御三方とかまさにそうだと思うんですけど、『スネークマン・ショー』の世界観だったり、子供心ながらどことなく”東京っぽさ”を感じてた気がします。いいかげんに見える格好良さみたいな。

 

それはすごい分かります。どっかちょっとひねくれてるんですよね。
幸宏さんともよくその辺のこと話すんですけど、例えば今日、なんかパーティーに出かけるとして何着ていこうかって考えたときに、普段のまんまの格好が良いんじゃないかとか、いややっぱり大人なんだからタキシード・ジャケットとか着た方がいいだろう、いやそれだとなんか意識しているみたいで恥ずかしいなとか。
 

- 結局一周して最初の格好に落ち着くみたいな?

 

そうそう。しかも一周じゃ済まなかったりしますからね。
 

- それで外した時は、切ないですね?

 

ほんと、もう帰りたくなりますよね。
あと、例えば僕、ニューバランスとかオールスターとか履けないんですよね、なんか抵抗あって。ちょっと恥ずかしいって言うか。

 
- なるほど。結構こじらせてますね。(笑)
 

そうゆう、屈折した感じが”東京っぽさ”の一つの要素だったとしたら、その部分においては東京っぽいって言えるかもしれないですね。

 
- 以前、山本耀司さんが何かのインタビューでおっしゃってたんですが、格好良い男のスタイルについて考えた時に、格好を気にする行為自体が格好悪いみたいな事を言ってて。それってまあ耀司さんに限らず、そうゆう風な考えを持っている人は多いと思うんですけど。

 

東京人って、シャイってゆうか照れ屋が多い気がするんですけど、やっぱりストレートに表現する事にちょっと抵抗があるのかな?だからある部分、そういった照らいなくバーーンと表現できる人には敵わない部分ってあるなと思ってて。だからそれに対する東京人ならではの武装みたいな感じなんですかね?

 

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