『soe』伊藤壮一郎 – 育った環境と影響


 

【ファッションの世界に入ったきっかけ】

 
- 前からファッションには興味があったんですか?
 

もともと興味があった訳ではなくて、高校の頃とかは割とチャラチャラした感じで過ごしてて、その当時しいて興味のあったものっていうと芝居ですかね。あとHIPHOP。
よく幸宏さんにいろんな所に連れってってもらってたんですけど、今もファッション業界で活躍されてる方とかにもその時お会いしたりしてて。

 
- ロンドンに留学されてたって事ですが、それは高校を卒業して?
 

親からずっと留学しろって言われてて、特になにか目的があって留学するって訳じゃなくとりあえず海外を見とけって事だと思うんですけど、それで高校出て3年間ロンドン行ってましたね。
その時期ちょっと精神的に不安定になってて、幸宏さんとかにもいろいろ気にかけて貰ってたんですけど。幸宏さんって山本耀司さんと親しいじゃないですか。耀司さんって空手やってらっしゃるんですけど、精神的に不安定なのって要するに体と心のバランスが崩れてるんじゃないか?ってことで道場にお邪魔させて貰うことになって。で、その時にもう直感的に耀司さんに憧れちゃったんですよね。

 
- 耀司さんって見た目もそうですけど、思想的な部分とかもちょっと導師っぽいですもんね?
 

ひとつ好きなエピソードがあって、耀司さんが、親交のあったバレエ・ダンサーのピナ・バウシュの展示が上野の美術館であった時に、待ち合わせかなんかで公園に一人で座ってたらしいんですよ。そしたら公園のホームレスの人が話しかけて来て、ふつーに今日の炊き出しはどこそこだとかそんな話をしていたらしいんですよね。ホームレスの人にとっては、もしかしたら同類の人って印象を持ったのかも知れないけど、でも実際は、名声や地位のある凄い人な訳じゃないですか?若い時にその話を聞いてやられちゃいましたね。

 
- なるほど。光景が目に浮かぶようですね。
 

ロンドンから日本に戻って大学入ったんですけど、当時、耀司さんのアシスタントをされてた方の所によく遊びに行ってて、作業をぼーっと見てたりいろいろ雑談したりしてたんです。自分も若かったんでいろいろ生意気な事あーだこーだ言ってたと思うんですけど、そしたらその方が、こいつ面白いからなんかやらせてみればって言ってくださって。

 
- それでブランドを立ち上げたと。それまで、特に服作りに関する経験などなかったと思うんですけど、その部分でためらいや不安みたいのは有りました?
 

その頃お付き合いのあったスタイリストの方に言われたんですけど、遊びの延長みたいな感じが、なんか新しいし面白いんじゃないって。だから最初は、遊びの延長って感じでやってた気がしますね。

 
- ちなみに伊藤さんの地元の友達っていうか周りで、ファッション業界に進んだ人って他にもいたりしますか?
 

一人もいませんね。みんな普通っていうか、医者とかパイロットだとか、あとは実家の仕事継いだり。東京出身でファッションやってる人って案外少ない感じはしますね。

 
- ファッション哲学っていうと大げさですけど、個人的な趣味嗜好なども含め、そーいうのなんかありますか?
 

僕自身の着るものに関して言えば、ほんと普通なんですよね。なんか狙ってる感じに見られるのも恥ずかしいし、ほんとに普通。普通なのが好きなんですよ、例えるなら無印良品みたいな。

 
- 最近ちょっと話題になった”ノーム・コア”みたいのはきっと違うんですよね?変に狙っちゃってるし。普通ってある種の究極ですよね。
 

本当に深いと思いますよ。周りから、だったらそーいうの作れば良いんじゃない?って言われるんですけど、『soe』というブランドでやるのはちょっと違う気がするし。いずれは何かの形でやってみたいとは思いますけどね。

 

▶次のページでは、『soe』の今後など。