「KIDS LOVE GAITE」山本真太郎 – 英アート・サブカルチャーからの継承


 
ブリティッシュの伝統とパンクなどに代表されるロンドンのサブカルチャーの空気がミックスされた、端正でいながらどこかアナーキズムも感じる、存在感のあるシューズブランド「KIDS LOVE GAITE(キッズ ラブ ゲイト)」。デザイナーの山本真太郎は、知る人ぞ知るロンドンの名店「The Old Curiosity Shop」で木村大太とイアン・リードのもと靴作りを学んだ。10代後半の人生で最も多感な時期をイギリス / ロンドンで過ごした彼が受けた影響や当時のロンドンのカルチャーシーンなどについて話しを聞いた。
 

 

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【 縁に導かれたロンドンでの生活 】
 

 

— イギリスに行ったのは何か目的意識があっての事だったんですか?

 
いえ、単純に日本から逃げ出したっていうか、言って見れば”島流し”みたいなもんですよ。
 

— じゃあ別にイギリスじゃなくても良かった?

 
当時、ロンドンのカルチャーとかファッションには興味があったんでロンドンがいいなってのはありましたね。日本で雑誌の「宝島」とか好きでよく読んでて影響受けたってのはあります。あとロンドンに親戚が住んでいたんで、それも一つの要因ですかね。
 

— 1996年に公開された映画「トレインスポッティング」の続編がちょうど20年後の今年公開されるみたいですが、当時のイギリスは文化、経済ともにすごく活気があった時期だったのと同時に表現としてはダークな物が目立った印象があるんですけど実際にその時期にロンドンで過ごしていてどんな感じだったんですか?

 
普通に生活しているぶんにはダークさみたいなのは殆んど感じる事は無かったですね。
一言でいうと毎日どこかでなんか面白い事が起こってるって印象ですかね。もちろんあの映画で描かれていたようなドラッグの世界は歴然としてあるし、周りでもそれが原因で亡くなった方もいますけど。
でもロンドンは日本人もスゴく住みやすい街だと思いますね。同じ島国って事で感覚的に似ている部分も多いと思うし、治安もそんな悪くないと思いますしね。食べ物もよく言われる程ひどいって事もないですし。物価はちょっと高いですけどね。
 

— 「トレインスポッティング」つながりで言うと、あの映画でブリット・ポップなどの音楽も注目されて、中でもやっぱり「アンダーワールド」の印象がすごく強いんですが、その頃のクラブカルチャーはかなり盛り上がっていたんですか?

 
ロンドンはほんとそこら中にクラブがあるんでよく遊びに行ってましたけど、まぁ盛り上がってたと思いますね。ミニストリー・オブ・サウンドのようなとこからアシッド・ジャズ系などジャンル問わずいろんな所行ってて、やっぱり個性的な人が多いんで面白かったですね。中では「サンダルズ」がやってたタンカンフーっていうネオヒッピー的な所はよく行ってましたね。

 

— どういった流れで「The Old Curiosity Shop」で働くようになったんですか?

 

最初イギリス郊外の高校に入ったんですが、そこを辞めてロンドンの「CAMBERWELL COLLEGE OF ARTS」に行くようになるんですけど、その頃に木村大太さんと知り合って。当時彼はシューズデザイナーのジョン・ムーアのアシスタントをしていたイアン・リードと一緒に「ハウス・オブ・ビューティー・アンド・カルチャー」で働いててよくスタジオに遊びに行ったりしていたんですが、彼が新しくお店始めるって事でその内装を手伝うようになったのがきっかけですね。
 

— 「ハウス・オブ・ビューティー・アンド・カルチャー」といえば、その活動の中心メンバーだったクリストファー・ネメス氏にオマージュを捧げたコレクションをルイ・ヴィトンが発表しましたね。

 
僕がいた頃はすでにクリストファー・ネメスは東京に拠点を移していたんで、向こうではお会いできなかったんですが、東京に戻ってから雑誌の企画がらみでちょっとお話させて頂きました。同じくジョン・ムーアも既にお亡くなりになっていたんで、イアン・リードから彼の話しを聞くって感じだったんですが、今思えば非常に残念ですね。
 

クリストファー・ネメスの世界 via:http://jp.louisvuitton.com

クリストファー・ネメスの世界 / via:louisvuitton.com

 

— 「ハウス・オブ・ビューティー・アンド・カルチャー」はロンドンではどのような感じで受け入れられていたんですか?

 
たぶん大きなムーブメントっていうんじゃなく、アンダーグラウンドな物だったんじゃないかと思いますね。「セデショナリーズ」とかもそうだったと思うんですけど、クリエーターとかいろんな面白い人が集まってなんか新しい事をやるみたいな。ジュディ・ブレイムやクリストファー・ネメスのようなファッション関係の人から、マーク・レボンのような映像やる人やインテリアデザイナーなど、はっきり何人ぐらいとかは分かりませんがいろんな人が集まってたみたいですね。

 
 

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