AVALONE – オルタナティヴなブランドの在り方



 

2013年にデザイナー三浦進が新たに立ち上げたブランド「AVALONE(アヴァロン)」。スポーツウェアをベースにストリートカルチャーからカルトでアンダーグラウンドなサブカルチャーまでを異端な視点から取り入れ、テック素材やレザーなどのひと捻り加えた素材使いと新鮮なシルエットバランスでフューチャー感のあるニュー・ベーシックな衣服を提案。その独特なイメージを放つ服やヴィジュアル表現は、海外のファッション・カルチャー誌やウェブメディアなどにも取り上げられ、今年10月には、第2回目となる「TOKYO FASHION AWARD(トーキョー・ファッション・アワード)」の受賞6ブランドの一つに選出された。
そこで今回は、今後の活躍が期待されるブランド「AVALONE」デザイナー三浦の、異例な経歴や反社会性を身にまとった容姿とも重なる独自の感性に迫った。将来的にデザイナーの道を考えている人にも、もしかしたらちょっと参考になるかも知れない。

 

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海外メディアから注目されるきっかけとなった2015SSコレクション

海外メディアから注目されるきっかけとなった2015SSコレクション


 
まるで自分だけなんか場違いみたいな。

ちょうど去年、ニュースで「TOKYO FASHION AWARD」ってのがあるの知ったんですけど、ブランドの海外進出の支援をしてくれる賞だって事で、その時期ちょうどウチの服が海外の媒体に取り上げてもらったりして海外進出を意識してたのもあったんで応募してみたんです。流れとしては、まずプレスキットとかの資料を送って書類選考、次の2次選考で12ブランドに絞り込まれ最終選考で選考委員の人達と面接。審査には百貨店などのバイヤーの人や、あとニック・ウースターもいましたね。正直あまり期待はしてなかったんですけど、最終的に選ばれたのはやっぱり海外でフックされてたのが大きかったんですかね。受賞した6ブランドそろっての授賞式では、ちゃんと学校でファッション勉強してたり、有名なブランドでキャリアを積んでたりしたデザイナーの人達に比べて、自分だけそういうの無いんでなんかスイマセンって感じでしたけど(笑)。

 
80年代のMTVとDOLL
小学校6年ぐらいから音楽に興味が出て来て、当時TVKでやってたMTVを食い入るように見てましたね。最初はスラッシュ・メタルの音の早さにはまり「Metallica(メタリカ)」あたりが大好きでよく聞いてました。中学に入ってからパンクに出会って、音楽だけじゃなくその背景のカルチャーにも興味が出て来た。その頃ネットとかないから「バンドやろうぜ」「DOLL」とかの雑誌を読みあさって、マルコム・マクラーレンとビビアン・ウエストウッドなんかが中心となったロンドンのファッション・カルチャーシーンを知り、ロンドン時代の藤原ヒロシの存在なんかを知って、カルチャー全体でのパンク・シーンにがっつりはまってました。

 
マックイーンのショー見てデザイナーになりたいなって。
その頃テレ東で「ファッション通信」(※現在BSジャパンで放映中)って番組やってて割と好きでよく見てたんですけど、ある時アレキサンダー・マックイーンのたぶんデビュー・コレクションの映像が流れて、それがすごくインパクトあったんですよね。「Sex Pistols」の曲かけて、パンクな世界観のショーだったんですけど、他のブランドがエレガントである意味かしこまった感じな中、周りとか気にしないで自分の好きな事やってる感じとかファッションでカルチャーを表現してる所に魅かれて。今思えばその時デザイナーって職業を意識し始めたんだと思います。

 
古着買って来てはリメイクして友達に売ってた。
中学3年の頃裏原のシーンが注目され出してて、パンクぽいブランドの情報なんかも知って原宿に買い物に行くんだけど、当時裏原で人気があった店とか一応見るんですけど結局そこでは買わなくて。単純に高いからってのもあるけど、皆が有り難がって買ってるのと同じ物着るのが単純に嫌だったんですかね。それで結局古着屋で似たようなの買って帰って、それ自分でリメイクして着てたんですよね。プリントごっこでTシャツとかにプリントしたり、パッチ付けてみたり、大きいTシャツ細く直したり。そのうちそのリメイクした服を欲しいって言う友達が出て来て。しまいには定期的に原宿で古着を仕入れてきて、リメイクして売るって状態にまでなってました。ちょっとした小遣い稼ぎにはなったんですかね(笑)。

 
高級なものだけど、見た目がグロいとこがいい。
「AVALONE」てアワビ(Abalone)から取ってるんですけど、なんでアワビかって言うと実家の仕事と関係があって。ブランド立ち上げたのがしばらく実家で仕事を手伝ってた時だったんですけど、やっぱりブランド名は自分と関わりのあるものが良いなと思って。で思いついたのがアワビだったんです。アワビの高級品だけど見た目がぐろかったりってのが、新しいブランドの世界観とピッタリはまったんですよね。あとアヴァロンって言うと神話に出て来る島を思い浮かべる人が多いかと思うんですけど、「アバロン島(Avalon)」っていう英雄達が祀られた島は、戦いに敗れ滅ぼされた側の逆の視点で見たらやっぱり忌むべき存在な訳で、その辺からサタニズム/悪魔崇拝のような物に繋がってたりって事でそれもかけて「AVALONE」って名前にしたんですよね。

 

2016S/Sは"MAGIC AND THE SUPERNATURAL"がテーマ

2016S/Sは”MAGIC AND THE SUPERNATURAL”がテーマ


 

ブランドを大きくするつもりは全然ない。
まだまだこれからのブランドなんですけど、正直今後も特に規模を大きくしていきたいってのは考えてなくて。ビジネスとして考えれば、会社を大きくしてセールスを上げて行くってのは健全な考え方だとは思うんですが、それと引き換えに失う物も多いじゃないですか。今は一人でやってますがこれからも人を増やす考えはなくて、その時々で周りのクリエーター達と協力しあって、お金に縛られない自由な環境である意味純粋に物作りして行ければって思います。それで結果的にお金が付いて来るのが理想ですけど、D.I.Y.じゃないですがそんなお金が無くてもブランドを継続していく方法ってのは色々考えてるんで。例えば生産に関してだと、独自のルートで職人さんとか工場と交渉してかなり安く請け負って貰ったり。これは別にダンピングしてるとかじゃ無くて、日本の職人さんの技術って世界的にも素晴らしいのにいろんな事情で閉鎖せざるを得ない工場とか沢山ある訳ですよ。もう年金を貰うような年齢だけどお金とかじゃなくてまだ仕事がしたいって熟練の職人さん達も多い。WIN-WINの関係じゃないですが、過大に求め過ぎないことで皆がそれぞれ上手くやってける道ってあるんですよね。

 
最近またスケート始めたんですよ。
ウチはスポーツやストリートがベースのブランドなんで、当然スケーターの要素も大きいじゃないですか。そういう服作っててスケボー出来ないってんじゃちょっと格好悪いかなって思って、よくつるんでるスケーターの友達と一緒に久々にスケートまた始めたんですよね。
とりあえず次は「TOKYO FASHION AWARD」のパリの合同展と来春の東コレですけど、今度のA/Wはこれまでの物にプラスしてベーシックなアイテムを入れて行こうと思ってます。あくまで僕なりのベーシックですけど。東コレはせっかくなんで何か面白い事出来ればと思ってますけど、ランウェイじゃなくてインスタレーションかな?場所もヒカリエじゃなくて、ウチのブランドっぽい良い感じの所で。

 

様々なカルチャーや、アートブックなどからもインスパイアされるという三浦氏のコレクションの一部。

様々なカルチャーや、アートブックなどからもインスパイアされるという三浦氏のコレクションの一部。

 

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若い頃に影響を受けたパンク。その精神性は今に受け継がれ、彼独自のスタイルを形成していると感じる。既成のブランドの在り方を良しとはしないインディーズ的なやり方は、個人の個性と自由をもっと大切にし、会社や組織はては国にも縛られる事なく人と人が自由に繋がる新しい生き方として世界的にも目に付くようになって来ている。今はまだユニークな存在のブランド「AVALONE」がこれからどのように成長していくのか楽しみだ。

 
AVALONE HP : http://mosaicoffice.com/avalone

 

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