【東コレ 2016-17AW】 フォーカス part1 – 「TOKYO FASHION AWARD WINNERS’ DAY」スペシャルレポート



 
東京ファッションウィークの最終日となる3月19日、今回で2回目となる「TOKYO FASHION AWARD」の受賞6ブランドによる凱旋イベントが渋谷ヒカリエを舞台に開催された。世界で活躍するファッションデザイナーを東京から排出する事を目的として発足したこのアワードは様々な面から今後国際的な活躍が期待されるブランドを支援するというもの。同時にやや低迷ぎみな国内のファッション市場を活性化させようという意図もうかがえる。

 

近年では「クールジャパン」の旗印のもと日本のアート、プロダクト、コンテンツなどを積極的に海外へアピールしようとする動きが政府主導により行われている一方、その成果はあまり聞こえて来ない。当のクリエーターからは「なんかズレてるよね」といった意見も散見される中、グローバルと声高に叫びつつも本当にグローバル市場に適した人材確保がなされていないんじゃないかという基本的な問題も。

 

そんな流れを受けてか、ファッション業界でも海外先行で効果が見られる、新しいデザイナーを発掘し、支援、育成しようといったプログラムが本アワードを含め国内でもちらほらと発足している。まだ万全の体制とは言いがたい部分はありつつも一つの足がかりのチャンスである事には間違いない。デザイナー達にはそれらをしっかりと見極め、利用できるものは賢く利用して日本のファッションシーンを活気ずけていって欲しいと思う。

 

今回は「TOKYO FASHION AWARD」の受賞6ブランドの中から2つのブランドをピックアップし、バックステージのレポートやインタビューを交えてご紹介したい。東京ファッションといえばやはりストリートって事で、ストリートをベースとした新旧2つのブランドにフォーカスした。

 

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1つ目は今年16年目を迎える「WHIZ LIMITED」。
昨シーズンのこれまでのアーカイブを披露したショーを見ても伺えるように、始終一貫性のある服作りをしている印象。「裏原」という一つの大きな流れを経て、「フツウそうでフツウじゃない」物作りを心がけているというデザイナー下野氏の現在を紐解く。

▶ WHIZ LIMITED 2016-17AW Special Report

 
そしてもう1つは今年3年目の「AVALONE」。
以前デスメタルバンドでの活動経験をもつデザイナーの三浦氏。自身の通って来たいろいろなカルチャーをベースに、独自のストリートスタイルを表現。「光より闇の部分に魅かれる」という彼は、反骨精神を武器にモードとストリートの境界を切り開こうとしている。

▶ AVALONE 2016-17AW Special Report

 

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EDITOR’S VOICE

 
今回ストリートにその軸を置きつつもいろいろと対称的な部分も見られる2つのブランドを取材してみて、改めてファッションという表現の多様性、そして曖昧さのようなものを感じました。
極端な例を挙げれば、今世界的に注目を集めるヴェトモンも世界展開している日本のファストファッション代表ユニクロも同じファッションブランドという言葉で語られます。服にさほど興味の無い人にとっては「服=ファッション」でしょうし、逆に一部の人達にとっては「ファッション=表現」な訳です。従来洋服はその機能性や快適さ、加えて社会性などを基準に発展してきました。永年職人達によって改良されながら伝えられて来た、機能的でさらに上質さや着心地などを追求したベーシックな服と言うものがあり、若くはない私はどうしてもそういった物を手にする傾向はあります。また一方で自分で着る事はあまりありませんが、何か新しいものを表現しようと意欲的に取り組んでいるデザイナー達の作るファッションにも非常に魅かれます。それはある部分アート的な観点での興味でもあるのかと思います。そういった服に関しては、着やすさとか縫製とかについてどうこう言うのはナンセンスとさえ思えます。
 
WHIZの下野さんは「服が好きなんであって、ファッションが好きな訳じゃない」と言いました。その感覚はとても良く分ります。また、世界を見据え反骨性をもって物作りに取り込むAVALONE三浦さんの姿勢にも共感を持ちます。新しい事には賛否があって当然の事で、逆に皆がいいねという物は既に風化してしまった物とも捉えられるでしょう。
服作りのスタンスは対象的とも感じる2人のデザイナーですが、洋服に対する愛情と物作りへのこだわり、そして着る人への想いといった部分では共通していると感じました。