【東コレ 2016-17AW】 フォーカス part3 – 「ニュージェネレーション編」



 
日本でも若手デザイナーを支援するプログラムがいくつかあります。東コレと関連したものとしては「東京ファッションアワード」の存在感が強いかと思いますが、この他にファッションウィーク期間中に受賞ブランドが発表される「DHL デザイナーアワード」があります。
このアワードは世界のファッションウィークのオフィシャル・ロジスティクス・パートナーでもある「DHL」が世界での活躍が期待される気鋭のデザイナーを選出し、おもに輸送面からのサポートをするものです。
 
第10回を迎えた今シーズンは「PLASTICTOKYO(プラスチックトーキョー)」の今崎 契助さんが受賞しました。特徴的な強いグラフィックプリントや凝ったディテールなどインパクトのある服で若い世代を中心に支持を得ているブランドです。
 
ブランド名にある”プラスチック”はそのテクスチャーが東京らしいという所から付けたのかと思いきや、日本のテクノポップの先駆けで最近再結成もした「PLASTICS(プラスチックス)」から引用したらしいです。
そのあたりからも分かるように”トーキョー”というものを表面的なものだけに留まらず洋服に表現しようとしている「PLASTICTOKYO」の今シーズンのテーマとなったのは、渋谷のスクランブル交差点。
 
今や海外からの旅行客の観光スポットにもなっているこの場所は、確かに外国人から見たらアメイジングなものに映るでしょう。日本人の気質なども含め、極めて東京らしさを象徴する場所であるのは確かです。
ショーでは交差したランウェイをモデル達が無秩序な秩序で足早に歩き、それを表現しました。彼ならではの着眼点の面白さに、今後も期待が持てるブランドだと感じます。
 
■ PLASTICTOKYO : http://plastictokyo.jp
 

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また、一昨年の「DHL デザイナーアワード」を受賞した「KIDILL(キディル)」は今シーズンはショーでの発表はありませんでしたが、ちょうどファッションウィーク中に渋谷にフラッグシップショップをオープンしました。
 
デザイナーの末安 弘明さんはヘアメイクからファッションデザイナーへと転身した方です。ヘアメイクとして渡ったロンドンでファッションの面白さに魅了され服作りをスタートしたそうです。前ブランドの「HIRO(ヒロ)」はロンドンっぽさを前面に押し出した疾走感のあるコレクションを展開していました。
約10年間続けた「HIRO」をやめ新たに「KIDILL」を立ち上げた理由の一つとして、「年齢を重ねると共に、作るものと自分の間にギャップを感じるようになった」事を挙げています。「KIDILL」では自分が着れる服というのを前提とした物作りを心がけていると言う事です。
 
前ブランドと比較して、ここ数年で海外の取引先が増えている事に関しては、「東コレで3シーズン、ショーをやったんですが、やっぱりそれが大きかったんじゃないかと思っています。もちろん『DHLアワード』の受賞も含めて」とのご意見。
今シーズンはショップオープンなども重なって東コレの参加は一旦休止しましたが、ショーはこれからも行っていく予定だそうです。
 
この度オープンしたショップではここでしか買えないアイテムも用意されるらしく、その一つはお客様からの要望も多いアーカイブライン、そしてシャツやデニムといったベーシックなアイテムのスタンダードラインなどを計画していると言います。
また、交遊のあるバンドなどファッション以外の所とのコラボやポップアップなどもやっていきたいと言う事でファンには目が離せないショップとなりそうです。
 
■ KIDILL : http://www.kidill.jp
 
 

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ここ数年、つまらくなったと言われていたファッションの世界が徐々に盛り返しつつあるように思えます。相変わらず不景気は続いているし、若い世代は昔のように盲目的にファッションに走ったりしなくなりました。みんな賢くなってメディアに煽られて消費に走るのは、もう過去の話しに思えます。ファッション以外にも皆、自分のスタイルというものを持っている人が増えて来ている気がします。そんな中で、確実に新しい波は来ています。世界を見渡せば本当に若いデザイナーがある日突然脚光を浴びるような状況もあったりします。それは情報のスピードが早くなったせいも大きいでしょう。これまでのやり方じゃお金儲けが出来なくなった”大人”達が血眼になって金のなる木を探しているってのもあります。
そんな大人達に惑わされず、純粋に表現に向き合う新たな若い才能を見ると、ファッションはまだまだ面白いと感じます。