【Amazon Fashion Week】“AT TOKYO”というAmazonが仕掛けた次の一手



 

GROWING PAINS – 渋谷の立体駐車場で初のランウェイ

 
DJそしてファッショニスタとして海外においても知名度の高い「MADEMOISELLE YULIA(マドモアゼル・ユリア)」が手がける「GROWING PAINS(グローイングペインズ)」が、ブランド初となるショーを披露。渋谷の立体駐車場内に特設された雰囲気満点の会場を舞台に、初めてとは思えぬ堂々たるショーを見せつけた。彼女がこれまで世界各国で培ったDJとしてのキャリアや、海外のコレクションを見てきた経験、そして人脈などがあっての結果だろう。
 
服作りを専門的に学んだ訳ではないユリアの作る服は、いかにもDJ的なミックス感覚に溢れたモノである。毎シーズン、様々なカルチャーからインスパイアされたコレクションを展開している「GROWING PAINS」だが、そのネタの選び方やミックス具合、ヒネリのさじ加減などは流石といったところ。洋服一筋で来ていないことが逆に発想の柔軟さにも繋がっていると思える。今の時代を象徴するようなデザイナーと言えるだろう。
 
ちなみにブランド名のグローイングペインズとは、医学用語で成長痛のこと。幼少期の急激な成長によって脚などに覚える痛みを指す。しかし医学的にはその原因は分かっていないとも言われている。他にも、思春期における悩みや産みの苦しみといった意味もあるようだ。一歩一歩、大人に近づく度に感じる痛み、社会と自己とのズレ。光が強いほど影は濃くなるなどと言うが、華やかな顔を持つ彼女にしか感じられない痛みも当然あるのではないだろうか。フェティッシュな衣装に身を包んだナースはその傷を癒してくれるのか、それとも傷口に塩を塗るのか? どちらにしてもなかなかのエンターテイメントだ。
 
ところで、上の、ショーのフィナーレに登場したユリアの写真を見て欲しい。赤十字のロゴの脇の影が、戦場で兵士達の上で鼓舞するジャンヌ・ダルクに見えないだろうか? 今回のテーマにこじつけた印象ではあるが、伝説の救世主にならって彼女が東京のファッションシーンの救世主となってくれるのは、それほど言い過ぎでもない気がする。
 

 

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HOUSE_COMMUNE – 都会的な大人の女性に向けたエレガンス

 
虎ノ門ヒルズ内にあるラグジュアリーホテル「アンダーズ東京」で下中美穂子がディレクションする「House_Commune(ハウスコミューン)」のショーが開かれた。今回のショーはブランド初となるが、「House_Commune」を展開するバロックジャパンにとってもJFW初参加のランウェイショーとなる。
「普遍でありながらも新しくもあるデイリーウエアを提案する」というブランドコンセプトのもと、洗練されたリアルでエレガントなコレクションを提案している。会場に選んだ「アンダーズ東京」は、その世界観の表現に大きな役目を果たしていると言えるだろう。
 

バロックジャパンと言えば、ゼロ年代始めの渋谷を中心に盛り上がったギャルファッションを牽引した「MOUSSY」や「SLY」といったブランドが想いうかぶ。カリスマ店員のブームなどと相まって、聖地の渋谷109は大変な活況を呈していた。明るく健康的なセクシーさに、若い女性や、もちろん男達も惹き付けられた。戦闘服であるギャル・ファッションに身を包んだ彼女達は、チャラチャラしているかと思いきや実は仕事にもマジメ。そして、それ以上によく遊んだ。
 
時は流れ、当時のギャル達もそれぞれのキャリアを重ね大人の女になった。そういった女性に向けての服が「House_Commune」なのであろう。彼女達は肌で感じるセンスを持っている。頭でっかちにモードを追求し過ぎてもモテない。その辺のバランス感が絶妙だ。スピード重視のブランディングで培ってきたサンプリングの上手さにもそれは現れている。最大公約数をターゲットに、誰からもオシャレに見える服。それがこのブランドの真骨頂なのではないのだろうか。
 
 

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今回「Amazon(アマゾン)」がファッションウィークに投入した「AT TOKYO」という試みからは、今後一層ファッションのカテゴリーに力を入れていくという同社の本気を感じる。そろそろ旧態依然としたシステムを打ち破るイノベーションが欲しいところ。Amazonだから出来る事、その強みを生かした戦略にこれからも期待したい。