愛と喧噪の東コレ2016SS 【感想・まとめ】


 

日本ファッション・ウィーク(JFW)推進機構の主催する、「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2016 S/S」いわゆる東コレが、公式スケジュールとしては10月12日から18日の7日間にかけて東京・渋谷のヒカリエをメイン会場として開催された。
昨今、この東コレに関してはネガティブな批評も巷で囁かれているが、実際どうなのだろうか?
今回は、私的意見も混じえこの一週間に行われたショーの感想などをまとめてみたいと思う。

 

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【 アウトライン 】

 
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毎回話題となるキー・ビジュアル。これまでファッション関連の仕事を多くこなすデザイナーによるものがほとんどであったが、今回手掛けたのはデザインファーム「DELTRO」というWEBデザインを始めデジタル・テクノロジー方面で活躍しているチーム。この起用はファッションとデジタル・テクノロジーの親和性をより推し進め未来につなげるという意図も大きいと思う。
このところのファッション・ウィークの取り組みとして、SNSによる情報発信などデジタル・コミニュケーションの強化といった一面が感じられる。具体的には、ファッション・インフルエンサーによるInstagramや動画のライブ配信、Twitterなどとの連動が挙げられるが、この側面として主要なファッション・メディアの東コレ離れといった傾向の影響も少なく無いだろう。
東京のブランド自体は海外からも注目を集める優れたブランドは多いが、その成長にともない世界のマーケットを視野に入れた時に、注目度や開催時期を含め海外のコレクションで発表したほうがより効果的であるという判断で海外に発表の場を移すブランドも多い。また、ランウェイショーはあえて見送り、映像やイメージビジュアルで世界観を表現する方向に軸足をシフトしたブランドも目に付く。
これにらによって東コレの、バイヤーやメディアに対する訴求力がやや落ちている現状は感じざるを得ない。
もちろんこの状況をJFWも黙って見過ごす訳は無い。いわば今は、東コレの存在意義を問い直している過渡期なのではないのだろうか?

 

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【 That’s Entertainment 】

 

 
昨シーズンの東コレのオープニングでサプライズ的に自身の着物ブランド「YOSHIKIMONO(ヨシキモノ)」のコレクション参加をアナウンスしたYOSHIKI氏。
おそらくファッション業界関係者の誰もが「えっ!?」と思ったはず。なぜ、あのYOSHIKIが東コレに?資料によれば、実家が呉服屋だったというYOSHIKI氏は、日本の伝統文化である着物を世界中に紹介したいという強い信念で、キモノブランド「YOSHIKIMONO」を立ち上げたそうだ。もちろん「X−JAPAN」としてや映画のテーマの作曲などで世界での知名度も抜群であるが、なんか違和感を感じたのは私だけでは無いだろう。
さて、今シーズンの大トリで登場した「YOSHIKIMONO」。黄色い歓声を受け登場したYOSHIKI氏の生演奏と共に披露されたコレクションは、ある意味イメージ通り。メディアの注目度は高かったと思います。海外の人とか、特にセレブがパーティーやレッドカーペットなどで着る衣装としては評判いいのかなという印象を持ちました。JFW側がどういった意図をもってこのショーを捉えているのかで見方は変わると思いますが。

 

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エンターテイメント性の高かったショーとしてもう1つ。ラフォーレミュージアム原宿で行われた「Jenny Fax」と「MIKIO SAKABE」の合同ショー。毎回独特な演出が特徴のブランドだが、今回も斬新な仕掛けが盛りだくさんで、しかもそれらが奇跡的なハーモニーを生んでいた。呪いがテーマだという「Jenny Fax」の間に挟んだ「MIKIO SAKABE」がこれまでと比較して服を”普通”寄りに振ってきた事で、より全体のシュールさが際立っている。演出上まわりで滑稽な事を真剣な表情で行う演者達に感動すら覚える。10代の少女達の触れたとたん壊れてしまいそうな儚さと、純真無垢な狂気のようなものを感じたショー。なんか癖になる魅力は呪いのせいか?

坂部と共に「ここのがっこう」など若手育成などにも尽力している山縣良和による「writtenafterwards」の昨シーズン披露されたショーでの感動は、ある種分かり易いモノだったが、このショーでは、なにか得体の知れない感銘を受けた。マーケット的にどうなのかは分からないが、日本ならではの新しい表現としての可能性を感じる。

 

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